植物手帖

出会った植物の気ままな覚え書き

 

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5月頃、鎌倉のあちらこちらの木の枝に小さな赤い実を見ることができる。

つんつんとした細い角のようなものが四方に伸びている。

私がそれを桑の実と知ったのはつい4〜5年前のこと。

以前住んでいた家の近くの川沿いに一本の桑の木があり、そこにたわわに実っている

のをみつけたのが初めての出会いだった。

すごい発見と思って友人達に話したら、結構ポピュラーなものらしく、すでにジャム

を作っているとか、春先子供たちの外遊びの時のおやつだ、と聞いてなぁんだと思っ

たものだった。

 

当時近所にあった桑の木はその一本だけだったので、ジャムにする程の量は取れなか

った。けれども鎌倉に越してくるとそこら中に桑の木があって、買い物のついでに

15〜20粒程採って、その都度冷凍庫で保存しておく。そしてある程度たまった時点

で砂糖と一緒に火にかけると、小さな瓶ひとつ分くらいのジャムができあがる。

野で摘んできたとは思えない華やかな香りの色あざやかなジャム。

ヨーグルトにかけて大切に大切にいただく季節の恵みである。

 

7月末に図書館で借りた本、大原扁理さんの「年収90万円で東京ハッピーライフ」。

その中に桑の葉を摘んできてお茶を作るという記述があった。

へぇぇ、桑の葉でお茶が!

それから注意して桑の木を見てみると、ちょうどその頃、新しい葉っぱが生えてくる

時期なのだと知った。

勢いが良くてとても美しい。そして瑞々しい葉は美味しそうにも見えた。

友人の ブライダルで使う植物の水落ちを実験していたところだったので、桑の枝も採

取してきて、根元の捨ててしまう葉ををほうじ茶に仕立ててみた。

 

結果は・・香ばしくて美味しかった。

少し前に作ったドクダミ茶に比べると格段に飲みやすく、優しい味わいにホッと一息

つける、そんな感じのお茶になった。

 

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 桑の葉といえば小学校の時分、理科の授業で蚕を育てたことを思い出すという人も

多いだろう。

けれども近くの桑の木に蚕がいたのを見たことは一度もない。なぜ??

種類が違うのかな?!

お茶が美味しかったこともあり、またこんな疑問も湧いてきたので桑について調べて

みることにした。

 

桑の種類には、ヤマグワとマグワがある。

ヤマグワは野生種、マグワは中国産で栽培種とのこと。

マグワはかつて養蚕用に栽培されていたが、今は野生化しているものも多く、また両

者の交雑種もあるようだ。

葉だけでヤマグワかマグワかを見分けることは難しい。

ではどこで見分けるか?!

 

一番の違いは実の形にある。

実に雌しべの跡である花柱があるのがヤマグワ、ないのがマグワ。

最初に「つんつんとした角のようなもの」と書いたのが花柱なのだった。

うちの近所にある桑で花柱のないものは今のところお目にかかったことがない。

近くで自生している桑の木はこれでヤマグワだということがわかった。

けれども、ヤマグワもお蚕さん用に使われることもあったようなので、なぜ自生の桑

に蚕がつかないのか謎が残ってしまった。

 

桑の実     拡大して見ると実からつんつん角が生えているのが見える ↓

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因みに桑の葉茶は、小腸で糖の吸収を阻止し、血糖値の上昇を抑える効果があるのだ

そうだ。

甘い物好きな私はお菓子のお供に飲んでみてもよいのかななどと思っている。

 

追記

北鎌倉のかっちゃんにヤマグワとマグワについて話を聞いてみたところ、蚕はどちら

の葉も食べるとのこと。

お蚕さんが桑の葉についているのを見たことがないのは、ただ単にカイコガが鎌倉周

辺に生息していないためなのではないだろうか。

 

ところでかっちゃん家の庭には、マグワの木が植わっていることがわかった。、

来春の桑の実シーズンが今から楽しみである。

 

仕事日記始めました。

kitokaplants.hatenablog.com

 

 

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